最近、2年6ヶ月住んだ賃貸マンションを最近引っ越したのですが、退去時に高額な原状回復費用(退去費用)を請求されました。
納得のできない金額だったので、インターネットでいろいろと勉強して管理会社に交渉したところ、はじめに請求された7.8万万円から4.7万円まで下げることができました。
ちなみに4.7万円は敷金です。つまり敷金を取り返すことはできなかったけど、追加費用は払わずに済んだ状況です。
借主の知識がないことを良いことに過剰な原状回復費用(退去費用)を請求してくる管理会社は結構あるみたいです。
知識をつけておけば余分なお金を払わなくて済みます。
この記事では原状回復費用(以下:「退去費用」で統一)を安くするために行ったことややっておけばよかったことをまとめます。
退去立会時に原状回復費用(退去費用)の請求を受ける
以下が僕が退去費用として請求を受けた内訳です。
- クロスの張り替え(洋間、キッチン、クローゼット):27,500円
→クローゼットにカビのような汚れ、キッチンに細かな汚れがあるため交換 - フロアタイル:27,500円
→リビングと脱衣所に物をおいた着色跡があるためリペア補修が必要 - 浴室の物干し竿:3,300円
→サビがついてるため交換 - 浴室の鏡:16,400円
→ウロコがついてるため交換 - 廃材処理費:3,300円
→交換時にでた廃材の処理費用 - 合計78,000円(消費税10%込)
この78,000円から敷金47.000円を引いた31.000円を振込むよう請求されました。
敷金47.000円がいくらまで戻ってくるかな♪のテンションで臨んだ退去立会。
敷金が戻らないのは最悪覚悟していましたが追加でお金が必要になるとは想定外でした。
本当はこのほかにも窓のパッキンにカビがあるとして交換代3000円とか、ほかにも忘れましたけどいろいろ請求されてました。最初は口頭で9万ちょっとかかるみたいなこと言われてて、その時ダダをコネてなんとか78,000円まで下がったという経緯があります。
入居前からあった汚れやキズも請求されていたので交渉しましたが、 入居時に送ったチェックシートに書いてなかったとしてほとんど 取り合ってはくれませんでした。
請求書にサインをしてしまった
チェックシートに書かなかった僕も悪いですが、入居時からの汚れやキズも請求されるのはおかしいと思ったので、消費者センターなどに相談したり情報を調べたりしてから対応することを伝えました。
特に動揺する様子はなく業者は了承。 最後に退去立ち合いをしたことを証明しないといけないので請求書にサインをしてくれと言われました。
なんでも退去立会日にやってきたのは管理会社から委託を受けた専門の業者だそうで、管理会社に報告するためにサインが必要なんだとか。
この時断ればよかったのですが、慈悲深い僕は「ああ、サインしないとこの人管理会社から怒られちゃうかもな。 口頭では相談してから支払うで同意してるしサインしちゃお。」 と思ってしまいサインしました。 完全にバカです。 納得できない額ならサインはしてはいけません。
そして最後に名刺を渡されて退去立ち合いは終わりました。今回みたいな退去立会に来たのが管理会社ではなく委託を受けた別会社と言うこともあるので、退去立ち合いの際は名刺をもらっておきましょう。
「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に沿った請求内容だったのか?
実は退去立会の時、委託業者から「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に沿ってキズのチェックをしてきますという説明がありました。
「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」と言うのは国土交通省が公表している
退去時における原状回復をめぐるトラブルの未然防止のため、賃貸住宅標準契約書の考え方、裁判例及び取引の実務等を考慮のうえ、
原状回復の費用負担のあり方について、妥当と考えられる一般的な基準をガイドラインとして平成10年3月に取りまとめたもの
引用:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000020.html
です。
「壁に貼ったポスターや絵画の跡」は貸主負担だよ、とか「タバコなどのヤニ、臭い」は借主負担だよと言った事例つきで借主の負担すべき修繕単位や「経過年数・入居年数」の考え方などが書いてあります。
退去時にボッタクられたくない人は一読すべきガイドラインです。
一応、退去立会前に「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」と言うワードだけはググって知っていて、もしトラブルになりそうならこのワードを出そうと思っていました。もしぼったくられそうになっても「『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』に沿って請求してください!!!」といえば相手は下手に請求してこないと書いてあったのです。
それだけに相手側からのガイドラインに沿ってチェックしますよ宣言には驚きました。この発言によって不思議な信頼感すら生まれてました。感じの良い人だったし。
まあ結局、納得できる請求額ではなかったわけですけど…
「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」をしっかりチェック
ガイドラインに沿ってチェックしてますと言ってたけど本当にガイドライン通りだったのかわかりません。なので自分でも調べることにしました。
読んだ結果、ガイドラインに沿ってないのでは?と思いました。
まず基本的には故意・過失で破損・使用不能になった設備がない限り、原状回復費用を支払う必要ないと書いてありました。原状回復とは入居時の状態に戻すことではなく、入居者の故意・過失や通常を超える使用などによる損耗・毀損を復旧することだからです。
また原状回復が必要だとしてもモノには耐用年数があります。例えばクロスであれば耐用年数は6年。交換時の価値が10万円(100%)だとすれば3年住めば価値は5万円(50%)に下がります。
この場合、交換になっても新品の金額を借主に負担させるのは適正ではありません。経過年数を考慮した金額にするべきです。
今回の請求額は経過年数を考慮したとは思えませんでした。
ただ中には経過年数を考慮しないモノもあります。例えばフロアタイルや浴室の鏡は経過年数を考慮しないらしいです。(物干し竿は不明)
とはいえ浴室の鏡のウロコも浴室の物干し竿のサビもフロアタイルに物をおいた着色跡も僕が入居時からある程度あった汚れでした。
入居時に新品だった物を汚してしまったなら僕が負担するべきなのはまだ納得できますが、
入居時からついていたであろう汚れまで含めてすべて僕が負担するのはおかしいと思いました。
しかし困ったことに脱衣所の着色跡以外は入居時に報告していませんでした。
報告してなかった理由は、一つ前に住んでた初めての賃貸物件がもともとあんまり綺麗ではなく、賃貸物件のある程度のキズや汚れはあって当然と思い込んでいたからです。また前回の退去立会は3分くらいで終わりもちろん退去費用は0円と言うユルいイベントだったので、退去時にトラブルが起きるなんて想定していなかったのです。
さらに調べてみると貸主が指摘したキズ・汚れを借主が否定した場合、借主が入居中につけたキズ・汚れかどうかを立証する必要があることがわかりました。立証責任は賃貸人つまり管理会社です。
なので入居時に報告漏れのキズ・汚れも管理会社が入居時にあったと証明できなければ費用を請求できないと考えました。
ちなみにググるだけでなく消費者センターなどの相談窓口も利用してみると良いです。原状回復についての冊子や地元ならではの管理会社の評判なんかの情報をもらえたりしました。
管理会社と交渉する前に保証会社に原状回復費用(退去費用)を立替ないように連絡
退去費用について調べていると、保証会社が退去費用を立替てしまうケースがあることがわかりました。
保証会社は家賃だけを立替る業者かと思っていましたが、その他いろいろ立替ちゃうみたいです。
保証会社が立て替えてしまうと当然、 保証会社から請求が来ることになります。絶対に面倒くさいことになります。想像しただけで発狂しそうですね。 揉めるのは管理会社とだけにしたい。
僕の場合、表面上サインをしてしまっているので管理会社から請求があれば保証会社は確実に立替をしてしまうと思いました。
これだけは避けたい。
なのでまず保証会社に立替を行わないように連絡を入れました。
連絡を入れた翌日にはメールがきて現時点で管理会社からは請求が来ていないこと、今後請求があっても立て替えはせず、一度こちらに連絡を入れることを約束してくれました。
サインをしてしまった僕にとってこの連絡はかなりホッとしました。サインしてもしてなくても保証会社には連絡しておくのが良いのかなーと思います。
管理会社と交渉開始
保証会社への連絡と情報収集が終わったところで、管理会社に連絡することにしました。
電話だと言った言わないになりそうなのでメールで連絡です。
連絡後、何日間か経っても返信は来ませんでした。 着段通知が来た時だけ開く GMAILを1日に何度もひらきました。中学のころ、あまりのメールの来なさからメールサーバーで止まっているのでは?と思い、 iモード問い合わせをしてみるもマジで誰からも来てないだけだったあの日々を思い出します。
こんな時に「あのやろう! 無視しやがって!」と怒るほど僕は未熟ではありません。 そもそもこちらのメールが届いてない可能性が7%あると思ったからです。なので、もう一度同じメールを送りました。
さらに 数日後2回連続でメールが届いてない可能性か0.00001%くらいあったので3回目のメールを送りました。 するとき、初めてのメールから1か月ちょっとがたったころです。電話が来ました。
管理会社から原状回復費用(退去費用)の減額の連絡がきた
電話の内容としては以下の感じでした
- クロスの張替え面積は24mだよ。単価は1000円だから合計24,000円だけど、基本料金が25,000円かかって25m以下の人には一律で25,000円払ってもらってるよ。
- 脱衣場のフロアタイルの着色は入居時に連絡くれてるからやっぱ負担しなくても良いよ。
- リビングのフロアタイルの着色は完全な証拠はないけど、入居前の部屋全体を写した写真を見る感じ、無いように見えるよ。それに入居時からあったって言ってたけど、チェックシートで報告してないから借主負担になるよ。40,000円だよ
- 浴室の物干し竿とが鏡は入居時の状態を証明するものがないので負担しなくてOKだよ。
- クロスの交換とフロアタイルの補修で合計60,000円+税が必要だよ。けどもう敷金の47,000だけで大丈夫だよ。コレで終わりにしない?
なんと敷金47,000円だけでよくなりました。一気に31.000円も安くなった。なんじゃそれ。
とはいえ、納得できない部分がまだあります。
まず、管理会社が勝手に決めた基本料金によりクロス張替えが最低でも25,000円がかかるとかだいぶ意味不明ですし、
フロアタイルの着色についてはマジで入居時からあったわけで請求される筋合いはありません。
なので電話でもわりとダダをこねたのですが、担当者は折れてくれませんでした。
安くなったとはいえ、自分がつけてない汚れを請求されるのは悔しいです。入居時のチェックシートはめちゃめちゃ大事だと痛感しました。
てな感じで、納得はできないままだったのですが、1ヶ月以上経ったことでコッチの「絶対に敷金取り返してやる熱」も冷めてしまっていたので、結局これで承諾してしまいました。
まあだいぶ安くなったし満足です。
ちなみにはじめにあった廃材処理費3,300円に関してはひっそりと忘却されていました。
交渉がダメなら内容証明作成や少額訴訟を
管理会社が掛け合ってくれなかったり、交渉しても納得できない退去費用だったりした場合は内容証明送るなり、少額訴訟することで減額ができるかもしれません。
いくらか費用も時間もかかるし行動ではありますが、やってみる価値はあると思います。
僕はやらなかったので詳しくは知りませんが、ググると内容証明のテンプレートや少額訴訟の起こし方を紹介しているサイトが結構出てくるので調べてみてください。
原状回復費用(退去費用)でトラブルにならないためにしておくべきこと
最後に今回の退去費用のトラブルを経験してやってよかったこと、こうしておけばよかったことがあるのでまとめます。
- 入居時は細かくキズ・汚れをチェック
- キズ・汚れは写真に残す
- 住んでて異常があれば管理会社に報告(カビが生えやすいとか)
- 退去時は部屋をキレイにする(鏡のウロコ取りとか)
- 退去費用に納得できなければサインしない
- 立会した人の名刺をもらっておく
- 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に沿った請求内容かチェックする
- 保証会社に退去費用を立替ないように連絡しとく
入居時の部屋チェックは超大事です。僕はフローリングの着色をチェックシートの書かなかったことで余分に退去費用を払うことになりました。書いておいて損はありません。写真をとって細かいキズ・汚れも全部チェックシートに書いておきましょう。ちなみにチェックシートは郵送ではなくFAXが良いです。原本が残るので。
入居中は何か問題があればすぐに管理会社に連絡しておきましょう。僕が借りてた部屋は1階北向きで地面から近く日当たりが悪いためジメジメしてました。手入れをしてもカビが生えやすかったのです。退去立会の時も窓のパッキンのカビを指摘されましたが、入居中に手入れしてもカビがどうしても生えてしまうことを伝えていたため、費用は払わず済みました。事前に報告しておくことでキズ・汚れを多めにみてくれる可能性があります。
最後に退去時。退去費用が納得できなければ絶対にサインはしてはいけません。僕はなんとかなりましたけど、サインして良いことはありません。言いくるめられそうと言う人は一人で退去立会せず、誰かに付き合ってもらいましょう。
まさか自分が退去費用でトラブルになるとは思いませんでした。請求されるのは決して安いお金ではないので賃貸してる人はお気をつけください。